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黒尾くんと同級生ちゃん

第4章 ただの同級生


『もうっ。お返事きくの? きかないの? 』


一生続きそうな2人の言い合いに口を挟めば、「「ききます」」と口を揃えていいお返事。

こんなに2人にじっと見られて返事を待たれて、もし断るつもりでも断れないような状況を作り出してしまったことに、少し笑いそうになる。
まぁ、断る気ないから、いいか。


『よろしくおねがいします。』
「え? 」
『やりたい。マネージャー。ちゃんと正式に。』
「「え...」」


驚いた顔。
一拍空いて、


「「うおおおおお!? 」」
「まじか!! 」
「いいのか倉尾!! 」


さっきの小競り合いはどこへやら、仲良く声を揃えてハイタッチまでしちゃう黒尾くんとやっくん。


『いいよ。むしろ、私でいいのかなってかんじだけど...1年もいれないし...。』
「全然いい!! おまえがいい!! 」


興奮したやっくんの言葉は無駄に男前。
なんだっけ、リベロ? には、男前しかいないのか、みたいな。合宿中、烏野の誰かがポロッと口にしてた。


「夜っ久ん抜けがけすんなよ! 」
「なにがだよ! 」
「何からだ? 部員に紹介? 」
「まず入部届けだろ! 」
「それだ!! 」


朝の眠そうな黒尾くんは何処へやら。
目の前で大きな(やっくんは小さいけど)男の子2人が騒いでいるせいで、先生が教室に入ってきたのに気付かなかった。


「おーい。バレー部煩いぞー。」
「「さーせん! 」」


朝の挨拶よりも先に謝罪を済まして、やっくんは自分の席へと戻る。
黒尾くんが後ろをコソッと向いて、


「入部届けとか、昼休みに持ってくっから。あと、今日空いてる? 放課後顔出せたら部活に顔だして、それから....」
「黒尾煩いぞー。倉尾を朝からナンパするなー。」
「いやしてねえよ! 」


黒尾くんと先生の掛け合いに、笑いが起きる教室。


「クロウケる〜」
「クロなにやってんのー! 」
「倉尾さんがかわいそーだろー! 」


少し離れた席から飛んでくる、黒尾くんと仲がいい男の子や女の子の野次に、


「なんもしてねえっての! 言いがかりやめてよセンセー! 」
「じゃあ前向いて話聞けよー。」


教室中の注目を集める黒尾くんの声。


「またあとでな、」


こっそり、私にだけ聞こえるように告げて、前を向く黒尾くん。
少し擽ったかった。
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