第4章 ただの同級生
“...私も、バレーはやったこともなかったし、最初はルールもよく分からなかったよ。 ”
『え、そうなの? 』
そういえば、中学は陸上部だったって言ってたな。
私もそうだったし。
“うん。澤村に誘われて、なんとなくやった事が、今ではかけがえのないもの...かも。”
『うんうん。』
“たぶん、意外と、好奇心と少しの勇気で踏み出せる1歩...なんじゃないかな。”
好奇心と少しの勇気。
潔ちゃんの言葉が、頭に張り付いた気がした。
“なんて、私も偉そうなこと言えないけど...”
『ううん。全然。そうだね...』
バレーを、音駒のバレー部のこれからを、見てみたいという好奇心。
『...今入っても、邪魔にならないかな。』
“えっと...邪魔になるようだったら、誘わないと思うよ。”
『勉強...大丈夫かな...。』
“...春高まで、烏野は、3年生全員残ると思う。”
『そっか...おんなじだ...。』
みんな、勉強と両立しながら、やっているんだ。
勉強は、理由にならない。
むしろ、勉強を理由に避けたかったの?
違う。
不安だっただけ。
でも、みんな、頑張っているんだ。
きつい練習の中。目標に向かって。ひたむきに。我武者羅に。
音駒のバレー部も、勿論。
できるよ、って、励まして欲しかったのかな。
それなら、そんなのは甘えだ。
あと踏み出すには、ほんの少しの勇気。
“あの、でも、私が偉そうにも無責任にも言えることじゃないから...マネージャーの仕事、休みが無くなったり疲れたりするのは事実だし...。”
『ううん。潔ちゃん、ありがとう。』
“え? ”
『出来なかったらどうしよう、ばっかり考えてて、やめる理由ばっかり探してたかも...素直に、なればいいね。』
素直に。
マネージャー、やりたい。
みんなの側で、バレー部がどこまで行くのか、見てみたい。