第4章 ただの同級生
夜8時。
夕ご飯とお風呂を済ませ、自分の部屋に戻る。
何気なくスマホを見た瞬間、ロック画面が電話の着信画面に切り替わった。
ディスプレイには、“ 清水潔子”の文字。
私は慌てて、画面を指でなぞり電波を繋げる。
『もしもし? 』
“あっ...舞衣ちゃん? ”
『潔ちゃん。どうしたの? 』
“ ううん...放課後、せっかく電話くれたのに、私中途半端に切っちゃったから。”
気にしていてくれたのか。
律儀な子。
『全然!! 私も急に電話しちゃったし...ごめんね。』
“ そんな...電話、嬉しかった。”
ポツリと言う潔ちゃん。
えっ。可愛い。
何この子。可愛い。
烏野の2年生の子...ニシノヤくん?タナカくん?が、潔ちゃんに付きまとってた理由が少しわかる。
『...私も、今潔ちゃんから電話が来て嬉しい。』
“ そう? ”
『うん。わざわざ折り返してくれてありがとう。』
“ ううん。切っちゃったのは私だし。それで...”
何かあったの? と、続ける潔ちゃん。
その要件は、潔ちゃんとの電話の後、黒尾くんとの会話で、話したい内容が180度変わってしまった。
本当は、バレー部のマネージャーが終わってしまって少し寂しい...ってことを、話したかったんだけど。
『...私、バレー部のマネージャーに誘われた...。』
“ えっ、そうなの。”
『うん、また、黒尾...あ、うちの主将に。』
“ そっか...。入るの? ”
『うーん...悩んでる。』
私は今3年生。
今入ったところで、部活ができる期間なんて、数ヶ月。
バレー部の結果によっては...なんて縁起の悪いことを考えるのはやめたい。でも、1年以上はどうやっても不可能。
それに、受験も気になる。
別に学年トップのような成績ではないけれど、そこそこの大学とか専門学校とかには行きたいかな、とは思う。そう思うと、黒尾くん達が目指す、春高?と、受験はかなり近くなる。
ただ...。
こんな私でも、必要とされるのなら。
そして、あんなにひたむきな、真っ直ぐな彼らの、少しでも支えになれるなら。
私が出来ることをやってみたい。
あのチームがどこまで行くのか、どこまで行けるのか、1番近くで見ていたい。