第4章 ただの同級生
「なーにが違うって?」
『うわああ!? 』
「うおっ!? 」
びっっっくりした!!!!!
後ろには、私より頭1つ高いとさか頭。
黒尾くんだった。
『えっ、あ、黒尾くん!? 』
「倉尾の声の方がビビったわ! 」
『だって驚いたから...。』
「あんな声でんのな? うおおおって? 」
『やめてよ! 恥ずかしいんだから! 』
私の声を、意地悪く真似して笑う黒尾くん。
『もー。バカにしてるでしょー? 』
「してないしてない、ククッ」
『笑ってるじゃん! 』
そんなやりとりで、また笑って。
「てか電話中だった? 」
『え、あ、うん。でも終わったから大丈夫。』
そんな前から見てたんだ。なんか恥ずかしいな。
まあ、私の家と黒尾くんの家のそばは一本道だし。そりゃ見えちゃうか。
「ふーん。誰と? 」
『潔ちゃん。』
「あぁ。烏野の美人。」
『ん、そうそう。』
まぁ美人だけどさ。
そういえば、黒尾くんのタイプなんだろうか。
『あんな子がタイプですか? 』
「なに? 俺のタイプ気になっちゃうんデスカ? 」
『えっ、うーん...。なんだろ...興味本位...? 』
「ははっ、なんだよそりゃ。」
うん。興味本位。
それ以上でもそれ以下でもない...はず。
「うーん。タイプかねぇ...。まぁ、ロングは好きだな。」
『そうなの? 』
「どちらかといえばな。」
『ふーん...。』
たしかに、潔ちゃんは黒髪の綺麗なセミロングだったなぁ。
私は自分の髪を手に取る。
小さい頃に水泳をやってたせいで、真っ黒な髪ではない。
潔ちゃんほど、ツヤツヤもしてないし。枝毛とかあるし。猫っ毛気味だし。
「おーい。家通りすぎるぞ。」
『え? あっ、』
もう玄関の前。
『あ、え?? 黒尾くん、家は? 』
「倉尾に話しかけた時、もう既に通り過ぎてたよ。」
『うそ? 』
「ホントー。」
黒尾くんの家を通り過ぎてまで、私に話しかけたの?
『なんで? 』
「えっ」
私がそう問えば、黒尾くんは「あー....」と言いにくそうな顔。
あっ。
私この顔、知ってる気がする。
あの時の顔。
ゴールデンウィークの数週間前の。あの時の顔。