第3章 烏野高校排球部
『全然付き合ってないよ。ただの友達。そう見えた? 』
「ううん、そうなのかなって、思っただけ。」
...潔ちゃん、黒尾くんのこと好きなの?
だとしたら、それはそれで...。
黒尾くんのタイプそうだし。潔ちゃん。いや、黒尾くんのタイプよくわかんないけど。
「倉尾ー、終わったかー。」
噂をすれば、というやつか。
黒尾くんが、私の背中に声をかけてきた。
『あ、うん、これしまったら行くねー。』
「おー。先に外行ってんぞー。」
私が黒尾くんの言葉に返事をすれば、黒尾くんはいつもどおりの背中で体育館の外へ向かう。
私達の会話で、そんなに付き合ってると誤解されるような部分なんてないはず...。
「あっ、大丈夫だよ。あとは私がやるから。」
『え、ううん! これだけでも。ね? 』
練習試合がおしたから、片付けはまだ残ってるのに、他は任せてしまう。
「でも、」と遠慮がちな潔ちゃんに、私はふと、前に黒尾くんが荷物を持ってくれた時のことを思い出した。
『...じゃあ、これだけ一緒に持っていくかわりに、連絡先教えて? 』
「え? 」
『潔ちゃん、すごく良い子で楽しかったから...今日で終わるのもったいないな...って。ダメかな?』
そう言うと、潔ちゃんは少し顔を赤らめながら、「わかった。」と言ってくれた。
そう言って、私たちはまた一緒にカゴを運ぶ。
この交換条件、どちらも嫌な気分にならなくていい。
ちょっと今の聞き方はナンパみたいだったけど...。潔ちゃんとこれからも仲良くしたいのは本当だから、まぁいいか。
さすが黒尾くん。ありがたく使わせていただきました。
カゴを用具室に置いて、私達は外に出る。
外では烏野のみんなと音駒のみんなが、思い思いの挨拶をしていた。
私も潔ちゃんと、メッセージアプリのアドレスを交換する。
『またね、潔ちゃん。』
「うん。また。」
私は潔ちゃんに、烏野の人達に手を振って、音駒のみんなと東京への帰路に着いた。
なかなか楽しかったじゃん。合宿。