第2章 臨時マネージャーはじめました
バンッ
まるでスローモーションのように見えた。
飛んでくるバレーボール。
ぶつかる。
そう思った瞬間、目の前に飛び出してきた大きな手の平。
黒尾くんだった。
私に向かってきたはずのボールは、黒尾くんの手の平で勢いを殺され、足元に落ちる。
「リエーフ!! 」
「すんまっせん!! 」
練習中に、こっちに90度近く頭を下げてくれるリエーフくん。
大丈夫だよ、という意味を込めて、笑顔で手を振った。
「ったく...倉尾、大丈夫か? 」
『あ、うん...大丈夫...。』
「あとで言っとくから。」
ボールが飛んできたことも驚いたけど、それよりも。
黒尾くんが助けてくれたこと。
そして、黒尾くんの呼び方が変わったこと。
そっちの方が驚いた。
黒尾くんは、リエーフくんに怒りながら練習の輪の中に戻っていく。
まだ心臓がドキドキしているのは、きっと、ボールにびっくりしたせいだ。