第7章 言えぬ思い〜信長編〜
『っ.............』
『早くしろ』
『ひ、卑怯です!』
『ふんっ、貴様の様な者を増やしたくないなら..........!』
もう少しだけ、言葉で虐めてやろうと思っていたが、突然ぐいっと顔を引き寄せられ空良の唇が重なった。
『『............................』』
やられた............
解毒剤を俺に飲ませた時も胸いっぱいに擽ったさが広がったが、空良が自ら俺の顔を引き寄せてして来た口づけは予想を超えて俺の心を大きく揺さぶった。
おそらく必死だったのだろう。
勢いに任せて重なった唇は、潰れる程にお互いの唇を押し合っていてお世辞にも口づけなどと呼べるようなものではなかったが、どうしようもなく心が震えた。
だが、唇は味わう前にすぐに離れてしまう。
『っ、これでお咎めは無しでお願いします。....昼餉の準備をしますので離してください』
可愛い気のない言葉とは裏腹に、空良は俺から視線を離し頬を赤らめ俺の腕から離れ様としている。
『っ、貴様、あれで口づけだと言うつもりか?』
ふざけるな、全然足りん。
『えっ?ん、.....んん!』
中途半端に熱を与えおって......
貴様はいつも俺を煽るだけ煽って、簡単にお預けをくらわす。
『んんーーーー!!』
空良の反応全てが可愛く愛おしくて、どんどん歯止めが効かなくなっていくのが、己でも分かっていた。
最初に違和感を覚えたのは、光秀に羽交い締めをされ広間に入って来た時、空良に触れる光秀に僅かに苛立ちを覚えた。そしてこの間の秀吉の空良への行い.......
人に抱いた初めての独占欲。
空良は..........俺だけのものだ。