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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第6章 言えぬ思い



「ごぼっ!ごぼぼっ!!!」

突然の事に私は思いっきりお湯を飲み込み、息苦しさに襲われる。
けれど、私の頭を押さえる信長様の手の力は弱まる気配もなくどんどん頭を押して来る。


(く、苦しい!何で?)


ばちゃばちゃと、手だけが虚しく湯を掻いていく。
もがいても、もがいても、何も変わらない。それどころかどんどんお湯を飲み込んで苦しくなっていく。


「ごぼぼ...........ごぼ......................」

もがいていた手にも力が入らなくなり、いよいよ力尽きそうになった時、頭は湯から引き上げられた。


「ぐっ、ごほっ、ごほっ、ごほっ.........何で、っぐ、こんな事.....ごほっ、ごほっ!」

咽せてお湯を吐き出す私を信長様は強く抱きしめた。

「俺の苦しみはそんなモノではない!」

「ごほっ、........っ、信長様?」

「なぜ、耳飾りをしておらん!」

(あ.......)

「言ったはずだ!外せば、想像を絶する仕置をすると!いいわけがあるなら聞いてやる。言ってみよ!」

「それは........」

激しい怒りが私にぶつけられる。

「信長様の女だとは思われたくなくて.....」


「だからあ奴らを誘ったのか!」

「はっ、何言って、そんな事.....痛いっ!」

バチャンと水音を立てて、信長様は激しく私の胸に歯を立て痕をつけた。

「やっ、やだ!信長様、やめてっ!」

抵抗したくても、お湯を吸った着物は重く私のすべての自由を奪う。

「貴様を......甘やかしすぎた様だ」

獰猛で、怒りを宿した目が私を捕らえた。


「っ..............あっ、」

「まだ、奴らの匂いがする」

「んっ............やっ、痛いっ、信長様」

血が滲むほどの痕を首や胸に刻んでいく信長様。

「貴様は、俺だけを感じて生きて行けば良い、貴様は俺のものだ、空良」

「っ...............」

酷い事をされてるのに、私を睨み見る目は泣きそうな程切なく揺れていて.......


「ごめんなさい」

堪らなくなり、泣く子をあやす様な感覚で、信長様を抱きしめた。


「っ、..... 空良.....」

今度は、壊れ物を扱う様にそっと抱きしめ返して来た。




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