第6章 言えぬ思い
昼餉を終え、信長様は軍議へ。私はまたこっそりと耳飾りを外してお城の掃除へと戻った。
広い御殿中を全て掃除し切るのはとても無理な話で、本丸御殿の廊下と客間の掃除だけで一日は終わってしまった。
夕餉までにはまだ少し時間があったため、折角だから二の丸御殿も覗いてみたくなり、二の丸へと続く廊下を渡り御殿散策をする事にした。
「あっ、耳飾り」
廊下を渡り二の丸御殿に入ったところで外していた耳飾りをつけようと思い袂に手を入れ取り出した。
「おい、そこの女」
耳に付けようとした所で不意に呼び止められた。
「はい?」
振り返ると二人組の男性がニヤニヤしながら立っている。
「お前、見かけない顔だが新入りか?」
「は.....い」
男性二人は、私の上から下までを舐め回す様な視線で見ている。
(何だか.....気持ち悪い.....)
「あの....戻らなければなりませんので失礼します」
嫌な予感がして天主へ戻ろうとすると、
「おおっと、そう急ぐなよ。俺たち暇なんだ、ちょっと付き合ってくれよ」
「えっ?」
驚く間も無く身体は宙に浮き、口元を押さえられ、一室に連れ込まれた。
「んんっ!!!」
「騒ぐな、静かにしろ!用が済んだら離してやる」
連れ込まれたのは、備品庫の様な場所。
口に手拭いを詰め込まれ、一人の男が私の手を頭の上で一纏めにして押さえ付け、もう一人の男は私の着物を短刀で斬り裂いた。
「んっ!んーーーーんーーー!」
無残に裂かれた着物は簡単に開かれ、男たちの目に晒された。
ゴクリと、男たちの喉が鳴る音が聞こえた気がした。
「お、おい、すげーきれーな身体だな」
「ああ、しかもこの女....見かけによらず、相当な好きものだぜ。見ろよ、この無数の痕。大方城中の男を連れ込んでやりまくってんじゃないのか?」
男たちは口々に勝手な感想を漏らす。
「うーーーーー!!」
(違う!離して!怖い!やめてっ!)
僅かに動く首を振った所で、それは何の助けにもならない。