第6章 言えぬ思い
「「............................」」
静寂が流れる............
いつも、私が何かを話そうとすると、口を塞がれ言えなくされて来たから、悔しい気持ちを思いっきり込めてやり返してやった。
勢いに任せて重ねた唇は、潰れる程にお互いの唇を押し合っていて、いつもされるばかりでどうすればいいのか分からない私はそのまま唇を離した。
「っ......................」
流石の信長様も驚いたのか、言葉を詰まらせ目を見開いて私を見ている。
「っ、これでお咎めは無しでお願いします。....昼餉の準備をしますので離してください」
勢いとは言え大胆な事をしたのは確かで、顔が徐々に赤くなっていくのが分かり、それを悟られないように逞しい胸板を押してその腕から離れ様とすると、
「っ、貴様、あれで口づけだと言うつもりか?」
「えっ?ん、.....んん!」
苦しそうな顔をした信長様は私の頭をガシッと強く押さえ、噛みつく様な口づけをし返してきた。
「んっ、..............ん、.......」
背の高い信長様の唇の位置に合わせ、頭を持ち上げる様にされた口づけで、体は僅かにつま先だけが床に付いていて、もはや浮いているみたいだ。
結局こうなるなら、最初から自分ですれば良いのに...........
必死で人生初自分からした口づけを返してほしい。
それにしても、さっき口づける直前に一瞬見えた信長様の頬も、少し赤らんでいる気がしたのは気のせいだろうか?
「んんーーーー!!」
確認したくても私は既に捕らえられていて、
魔王の口づけは、息苦しさで意識が遠のきそうなほど長く続いた。