第46章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜
「どのみち思い出さなければその用事も意味はなかろう?」
「それはそうですけど…でも…」
(本当に何か大切な事?日?だった気がするのに…)
「ならば、貴様がその用事とやらを思い出せればそれを優先させてやる。だがそれまでは俺に付き合え、これでどうだ?」
ううっ、また上手く流されている気はするけど…
「……分かりました。でも、思い出した時はその用事を絶対に優先させてくださいね。本当に大切な事だと思うんです。とても、とても大切な人のための日だって……んんっ!」
(また口づけっ!)
さすがに二度目はと思いキッと睨みつけると、
「説明してやる気はないが、可愛すぎる貴様が悪い」
何だか照れた顔で、しかも僅かに頬を赤くしてそう言われたから、理由は分からないままだったけど何も言い返せなくなった。
そして逢瀬の刻が来て、
「行くぞ」
手を取られ指が自然と絡まった。
それは私の体が覚えてるのか本当に自然で、そして胸がキュウッとまた甘く締め付けられた。
私たちが夫婦なのだと言う事は、城下を歩いてすぐに人々の反応で分かった。
「信長様、空良様、美味しい饅頭が蒸し上がってますよ」
城下町へ行くと町民が皆嬉しそうに声をかけてくれる。
(饅頭!美味しそう。でも武家の娘は食い意地が張っていてはダメよね)
蒸し立てホカホカの饅頭にかぶりつきたいけれど、生唾を飲んでグッと我慢をする。
「あ、私は別に…」
「いつも通り四つもらう」
信長様はそう言って、店の長椅子へと腰を下ろした。
いつも通り四つ?一つは私だとしても、信長様は三つも食べられるのだろうか?
不思議に思いながらもその長椅子に座ると、女将は皿に一個と三個の饅頭を乗せてやってきた。
思った通りだと思いながら座っていると、三個の皿の方を私の前に置いた。
「あの、私は…」
「今更だ。貴様が大食漢なのはこの安土で知らぬ者はいない」
信長様が笑いながらそう言った。
「ええっ!」
「なんだ?隠している予定だったのか?貴様はいつも俺の倍は食べることを知らぬ者はこの安土にはいない」
「ええっ!」
私…、そんなに大っぴらにここで過ごしてるのっ!」