第46章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜
「顔が赤いな。もう寝た方が良さそうだな」
「だっ、大丈夫で…きゃあっ!」
鮮やかな手つきで体を褥に沈められ、そして信長様の腕の中へ閉じこめられた。
「な、な、な、何をっ!」
「顔がもっと赤くなったな、大丈夫か?」
決して心配などしていない顔は、愉快に口角を上げて私を見つめる。
「だっ、大丈夫じゃありませんっ!」
胸が痛いほどに早鐘を打つ。
「ふっ、すごい音だな。飛び出して来そうだ」
私の胸の音に気付いた信長様は、そのまま私の胸に顔を埋める。
「っ、お願いします…離れて下さい」
目覚めたら、自分の周りの全てのことが変わっていて頭がついていかない。
何より、敵だと思っていたこの男性と私がどうして夫婦になったのだろう……?
「空良、俺を思い出せ」
私の胸から顔を上げた信長様は、恐ろしく整った顔で私を見つめる。
「………っ」
「だんまりで答えんのも同じか。愛らしいな」
チュッと、形の良い唇が私の唇を掠め取る。
「まっ、待って下さい!こう言う事は嫁入り前の娘はしてはいけないと母上からキツく言われています」
何もしないって言っていたのに、体はすでに組み敷かれ今から致します状態だ!
「くっくっ、貴様は俺の妻で既に子もおる」
「あっ!」
(そうだった!夫婦で子もいると言う事は、夫婦の営みをこの人としていたと言う事で…、でもそんな事が私にできていたなんて信じられない)
「貴様が俺を覚えておらんなどあり得ん。俺を思い出せ」
唇が再び重なる。
(私…殿方と口づけをしてる?)
「っ、あの……んんっ!」
止めようと口を開ければ、何かがそれを塞ぐ様に入り込んできた。
「っん、ん、」
訳が分からず必死で信長様の着物を握りしめる。
「口づけの仕方も忘れたか?」
「だって初めて…んっ、」
「そうだ。貴様の初めての口づけの相手は俺で、俺以外がこの唇に触れる事はない」
そうか…口づけももう初めてじゃないんだ……