第46章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜
「ふふっ、かわいい」
二人きりになった部屋で、膝の上で眠る男の子の頭を撫でる。
(私の子なんて、しかもあの織田信長様との子なんて信じられない)
大まかな事は兄から聞いた。
私が顕如様に織田信長様が敵だと信じ込まされていた事、その信長様と恋に落ち子ができ祝言を上げた事。
何より、私達がとても愛し合っている事を……
「はは……」
膝の上の幼子は眠りながらも無意識に私の胸を探しそこに手を添える。
「……っ、いつもこうやって眠っていたのかな?」
急に母だと言われただけでも驚きだけど、この子に授乳をしていた自分はもっと想像がつかない。
「間も無く二つになると聞いたけどまだ赤子よね。ごめんね。思い出せなくて」
それでも一人で眠るのは心細い気がしていたから、彼の柔らかくて暖かな体をギュッと抱きしめると、懐かしい匂いと感覚がして。不思議と心が落ち着いて行く。
(あ、眠れそう。………そう言えば、明日は何か重要な事があったような……?)
そんな引っ掛かりを心の隅に覚えながらも眠気には勝てず、私はそのまま目を閉じて眠りについた。
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(……ん、)
深い眠りに落ちていたけれど、胸を触られる感覚が再びして眠りから呼び覚まされた。
(吉法師が寝ぼけて触ってるのかな?)
母が急にこんな風で、幼いながらに不安なのかもしれない。
(胸を触られるなんて慣れてないし恥ずかしいけど……触らせてあげよう)
申し訳ない気持ちが勝り、せめて彼の頭を撫でてあげようと手を出すと、
(…………ん?)
思った場所に吉法師の頭はなく、代わりに硬い板のような物に触れた。
(あれ?)
不思議に思い目を開けると、
(!!!!!?)
そこにいたのは吉法師ではなくて信長様で……!
「起こしたか?」
「き…」
「き?」
「きゃあ——————っ!」
私の叫び声は本丸御殿中に響き渡った。