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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第46章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜



・・・・・・・・・・

「空良様、そろそろお休みのお時間です」

「はい」


長い一日がようやく終わる。

「では私は暫くは外に控えておりますので、何かありましたらいつでもお声がけ下さい」

「はい。あの……」

「私は麻です。短い間でしたが空良様の侍女をしておりました」

「私の侍女を?それはいつですか?」

「約二年前の事です。信長様と京での新年の宴に出られることになった時、ご一緒させて頂きました。その際に吉法師様がお腹にいることが分かったんです」

「そう…ですか」

目が覚めてから今まで、来る人来る人皆が同じような事を言う。
そして誰の話を聞いても何一つとして信じられない。

私が…織田信長様の正妻で、しかも嫡男を産んだなんて……

「事情は聞いております。あまり無理はなさらず今夜はゆっくりとお休みください」

「ありがとう」

麻は頭を下げて部屋から出て行った。

布団に入り、今日あった事を頭の中で整理してみるけど、やはり何もかもが信じられない。

でも行方不明だと思っていた兄上が無事で、その兄上も私が織田信長様の妻だと言っていた。そんな嘘を兄上が言うはずがないとは分かっているけど……


整理のできない頭を抱えていると、廊下からバタバタと元気な足音が聞こえて来た。

「?何かしら?」

その音は私の部屋の前で止まり、そのまま襖が少し開いた。

「ははーー」

(あ、吉法師…だったかしら……?)

私と織田信長様との間にできた子(らしい)が、小さな手で開いた襖の間から愛らしい顔を覗かせた。


「吉法師様いけません。母上様は本日は体調が優れずご一緒にお休みにはなれません」

侍女が吉法師が部屋に入ることを止めると、吉法師はイヤイヤと駄々を捏ねて泣き出した。

ズキンと胸が痛む。

「あの…お部屋に入れてあげて下さい。一緒に寝るだけですし、大丈夫です」

あんなに小さな子が涙を流す姿に耐えきれず部屋に入れると、彼は私に抱きついてそのまま膝の上で眠りについた。



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