第44章 私の育った故郷では 〜信長様誕生日sp〜
信長様と言う方に愛されて、私は幸せ者だ。この方に出会えて本当に良かった。
「信長様に出会えて本当に良かった」
あなたに出会ってなければ、私は再びこの地に幸せな気持ちで立ててはいない。
「信長様」
信長様の胸から顔を離して、信長様を見上げた。
「何だ?」
さっきまで拗ねていた顔はもうなく、優しい瞳で私を見つめ返してくれる。
「生まれて来てくれて、そして私を愛してくれてありがとうございます」
すぐに拗ねるし、他の殿方にすぐに悋気を起こすし、かなり俺様だけど、
「信長様の事を心から愛しています。だからこれからはそんなに怒らないで下さい。信長様の機嫌が悪いと、嫌われたんじゃないかって、不安に…ん……」
黙れの口づけだ。………でも、優しい口づけ。
「………っ、貴様は本当に肝心な事がいつも遅い。俺を怒らせたくないのなら、初めから俺だけを見ていろ」
俺様完全復活だ。でも困った事に私はそんな信長様が大好きらしい。
「んっ、……っ、そうしていたいのは山々なんですが…」
「何だ、まだ逆らうか?」
「信長様の事が好きすぎて、見つめ続けていると心の臓が痛くて苦しくなるから…」
「っ………!」
信長様は口に手を当てると横を向いて、嬉しそうな?でも苦しそうな?表情を交互に繰り返した。(口元は手で隠れていたから目元だけだけど…)
そして大きく息を吐き出し…
「………貴様と言う奴は本当に」
「?………わぁっ!」
がばっと体は急に宙に浮いた。
「屋敷へ戻る」
「えっ?」
私を抱き抱えた信長様はそう言うとズンズンと元来た道を歩き出す。
「信長様、宴に戻ってくださるんですか?」
「ああ、だが宴の後は覚悟しておけ、声を耐えられるなどと思うなよ」
「っ、」
また返事が遅いと叱られそうだけど、戸惑いと嬉しさが入り混じり、これには頷く事はできなかった。
そして宴へと戻り、信長様のお誕生日会はつつがなく終了した。