第5章 心の内
「貴様ほど、愚かで愛らしい生き物を俺は知らん」
その目も言葉も......反則だ。
「い、生き物って.....私は狐や狸ではありません」
気付きたくない思いに、気付かされそうで......
「分からんぞ?狐や狸はそれはそれは美しい女子に化けて男を惑わすと聞く。貴様がそうではない証拠がどこにある?」
私の顔の輪郭を指でなぞりながら、目の前の男は熱のこもった目で私を見る。
「俺を常に惑わす貴様が、真に人間かどうか確かめてやる」
「んっ.........」
罠に掛かった獲物の様に捕らえられた私は、もう抵抗なんてできるはずがない。
「ふっ、尻尾を出すなら今の内だぞ」
唇を離し、愉快な口調で言いながら、信長は私の着物を暴いて行く。
「............貴様は、綺麗だな、空良」
ちゅっと、胸元に口付けられれば、あっという間に体が熱を持った。
「やっ、やっぱり今夜は.........」
このままでは取り返しが付かなくなってしまいそうで.......
「観念しろ空良。散々焦らされたんだ。もうやめられん」
「っ............」
相変わらず熱い手が私の身体を撫でる。
「や、....信長様......」
どんどん私の体に熱を与えていく信長の頭を押してやめてほしいと首を振り、目でお願いをした。
「空良、貴様がどこの誰でもかまわん。俺のものになれ」
「んぅ...........」
重なる唇が.......熱い。
「っは、............ぁっ、んっ、ん.......」
私の胸を触る手も.....
「あっ、やっ、........」
胸を口に含み転がすその舌先も.......
「空良」
囁かれる度肌にかかる吐息も熱い。
「んっ、......や、やだ、信長様.....んん」
目を合わせれば、何度も呼吸を奪われる。
思考を......これ以上奪わないで........
どんな抵抗も虚しく、脚を開かれ濡れそぼつそこに舌と指で熱を与えられれば、
「ああぁっ!!」
簡単に快楽に呑まれた。