第5章 心の内
「っ....ん、好きじゃない!」
誰が、好きになるものか!
父と母を死に追いやった男のことを、好きになんか.....
「貴様がそう言うのなら、それで構わん」
「んっ!」
私の背中に腕が回り抱きしめられると口づけが深くなった。
好きじゃないって言ってるのに、どうしてここで更に深く口づけるのか.......
私の話を全く聞いていない男の口づけに、不本意にも腰から力が抜け始めた。
「空良」
吐息のかかる距離で名前を囁かれ身体が褥に倒された。
賭けに負けたから、このまま抱かれても文句は言えないけど......
「っ..........やっ、」
もう、抱かれたくない。
「やだ、信長様っ!」
今夜抱かれたら、もう戻れない気がする。
なのに.....まるで聞こえていないかのように、私の顔や首に音を立てながら口づけを落としてくる。
「嫌っ!やめてっ」
「何だ、今夜は嫌々か?」
私を楽しげに見て笑いながら、おでこに口づけた。
「お願い、信長様、今夜は抱かれたくない!」
手で信長の胸を必死に押した。
「うるさい。少し大人しくしろ......................ん?」
胸を押す私の手を掴むと、信長は顔をしかめ動きを止めた。
なに?
「...........秀吉め、俺のものを雑に扱ってくれる」
「え?」
掴まれた手首を見ると、くっきりと指の跡。
さっき、秀吉さんに斬られそうになって掴まれた時についたものだ。
「貴様も少しは抵抗せよ。俺以外の男に簡単に触れさせただけでも仕置ものだが、斬られようとするとは....いや、髪を少し、斬られておったな。それに関しては仕置きをせねばな」
ぺろっと、信長はその跡を舐めた。
「やっ、信長様!?」
「じっとしていろ、消毒だ」
舐められたかと思うと、何度も赤くなった箇所に口づけられた。
「っ............」
本当に.......もうやめてほしい.......