第43章 大掃除も楽じゃない〜新年特別編〜
「でもこれが…献上品?」
小夜ちゃんはまだそれを手に持ったままもっともな疑問を口にした。
「確かに…」
あまりの衝撃に献上品の中にあったものだと一瞬忘れていた私も不思議に思い頭をひねる。
「もしかして…信長様が命じて作らせたものがこの中に紛れ込んだんじゃ…!」
「なっ何で!?」
どうしてその発想っ!
「そりゃあ、夫婦の夜の営みをもっと盛り上げるため…とか?」
張形を私の胸にツンツンとして、小夜ちゃんはふふふっと含み笑いをした。
「わーっ!やめて〜!変なこと言わないで」
「いゃ〜ん空良ったら真っ赤になっちゃって可愛い〜」
私の反応に大笑いする小夜ちゃんは張型を箱に戻して、献上品の山に戻した。
「信長様との間に若君もいるのに、まだそんな反応するの?」
「吉法師がいたってそれは関係ないって言うか…」
信長様にもいつも笑われてしまうけど、あの時の信長様の放つ色気には慣れることがてきなくて、いつまでもドキドキしてしまう。
でも…
「本当に信長様が所望されたのかな…?」
「空良?」
私との夜の事に飽きてきたからこれで…?
「おーい空良、戻っておいで〜よくない事考えてるでしょ?」
悪い癖が出始めた私の肩をポンっと叩いて小夜ちゃんが呼び戻してくれる。
「きっと南蛮商人からのちょっと気の利いた?贈り物だよ。信長様の事だから笑って誰かにあげるんじゃない?あんなに空良しか見えてませんって方がこんなものに頼ったりはしないって」
「う、うん。そうだよね。私もそう思う」
縛られたことは何度かあるけど(これが普通のことなのかも分からないけど)それにも理由があったし、考えすぎだよね。
「あ、掃除しないと、そろそろお客人が来ちゃう!」
「本当だ、急ごうっ!」
献上品には色々とあるものだなぁと若干体を火照らせながら、私はお部屋の掃除を済ませた。