• テキストサイズ

叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第5章 心の内



「っ、私などを相手にしなくても、信長様の周りには素敵な女人が沢山おりましょう?私をお手討ちになさらないのならせめて牢屋へと入れて下さい。父と母への弔いの経を唱えながら、そこで一生を終えたいと思います」


「俺は、貴様を手放すつもりはない。もちろん手討ちにするつもりも........。経を唱えたいのであればこの部屋で唱えよ。貴様の声は心地良い。経を唱える声もまた、俺の癒しとなろう」

信長は褥から身体を起こし、私の頬に手を当て見つめた。


「貴様の言う様に、女に苦労はしておらん。俺が望まずともその場で身体を開く女はたくさんおる」

「そ、そうですか」

その言葉に、なぜかズキンと胸が痛む。

「だが貴様を抱いて以来、他の女に興味がなくなった」

「えっ.....?」 


「俺は、貴様しか抱きたく無いと言っておる」

「っ..........」

抱きたいのは私だけって、どう言う意味?

それは、自分の命を狙ってきた女を手籠にするのが楽しいから?

それとも、綺麗で高貴な女人ばかりを見てきた男にとって、普通の武家の娘で何も知らない私が珍しいから?

それとも、うつけな男のただの気まぐれ?

理由なんて大方そんなところだろうけど........
それなら、そんな熱い目で見ないでほしい。

そんな、一点の曇りもない真っ直ぐな目で........


「そ、そんな風に見ないで下さい」

顔に、熱が集まっていくのが自分でも分かる。


「ふっ、見つめれば赤くなる程には俺に惚れたか?」


嬉しそうに、したり顔で聞いてくる信長。


「..........はっ?何言って........私は手討ちにして欲しいって言ってるんです。信長様の事なんて、一寸たりとも好きではありません!」


好きになんて、なる訳ない!
そんな.....みんなの思いを裏切るようなこと......


「本当に強情な奴だ。意地を張らず認めればいいものを」


「だから違うって、ん........」

顔を引き寄せられ、唇が当たり前に重なった。


/ 679ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp