第42章 叶えられていく思い 祝言
「小夜ちゃんっ!みんなもっ!」
(忙しい中来てくれたんだ)
「空良は私たち女中の希望の星だよ!私達の希望を叶えてくれてありがとうっ!そしておめでとう!」
「小夜ちゃん…」
ずっと、私の恋の相談仲間で、仕事仲間でもあった小夜ちゃん達…
「ありがとう、昨日今日とお休みをもらったけど、明日からまた私もみんなとお仕事頑張るから、宜しくね」
二日間も婚儀の為お休みをもらっていて、かなり私は掃除をしたくてムズムズしている。
「何言ってんの!明日なんて、信長様が離してくれるわけないでしょ!私達の事も、掃除もいいから、しっかりと愛されておいで〜」
「なっ、さっ、小夜ちゃんっ!」
(はっ、恥ずかしい……)
驚く私に構わず、ドッ!と庭先には笑いが起きた。
「違いないっ!」
「また当分天主から出て来られないかもなぁ」
「信長様の空良様への束縛はハンパないからなぁ」
わははっ!とまたもや笑いが起こり、私の顔はもう火が吹き出しそうなほど熱くなった。
「おいっ、お前ら、ここら辺でやめておけ」
「「「秀吉様っ!」」」
皆に囃し立てられ赤面する中、秀吉さんがやって来た。
「悪いな。皆一目でも良いからお前の晴れ姿を見たいと言ってな。俺が中庭に出て待つ事を許可したんだ」
皆の喧騒を片手で制した秀吉さんは申し訳なさげに言った。
「秀吉さん、ううん、こんな粋な計らいをありがとう。こんなにも祝福してもらえるとは思ってなかったから嬉しくて」
全ての人に祝福されているとはもちろん思っていないけど、みんなの気持ちはとても嬉しい。
「空良、この婚姻に関して勘違いしてるようだから言っておくけど、お前と信長様の婚姻に異を唱える者など誰もいない。皆、信長様にはお前でなければいけない事をよく分かってる。お前は今日から信長様の正室として、堂々と信長様の隣に座ればいいんだ」
「秀吉さん…」
余りの優しい言葉に、うるっと目頭が潤んだ。