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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第42章 叶えられていく思い 祝言



「まぁ、聞いたところであの子は答えないと思うけど、昔から秘密主義なのよ、ホント…」

「ふふっ、菖蒲様は、本当に麻のことが好きなんですね」

「別にっ、あんな薄情な子好きじゃないわ。私と唯一張り合える女だと思ってたのに、人に何の相談もなくいなくなって…」


ぷいっと、少し赤くなった顔を背ける菖蒲様からは、京で初めて会った時の冷ややかな雰囲気は全くない。

あの日、あんなにも麻に冷たくあたったのは、麻が辛い時に力になれなくてきっとお寂しかったから。けれど、元々の自尊心の高さが邪魔をして拗れてしまった。不思議だけれど、あの時の事が今ならとても良く理解できる。


「今度、麻に会ったら良く伝えておきますね」


人の心はとても繊細で難しい。
悩みを打ち明けられる人もいるけれど、一人で抱え込む人の方がきっと多いのだろう。強い人であれば尚更に、一人で乗り越えようと頑張ってしまう。

信長様が、頑なだった私の心を解き、私に寄り添い守ってくれた様に、麻の心が光秀さんに守られているのならば、それはとても嬉しい事だ。


「無駄話が過ぎたわね。そろそろ時間よ。吉法師も寝たようだし、準備は良くて?」


「あっ、はい」

思わぬ大きな情報に祝言の事が一瞬頭から離れてくれたおかげで、ガチガチだった緊張が少しほぐれた。


泣き止み眠りに落ちた吉法師を再び侍女に預けて、私は祝言の広間へ行くため部屋を出た。







「「「「「空良様っ!」」」」」


部屋の前の庭先には沢山の人だかりで、私の姿を見た途端、歓喜の声を上げてくれた。


「わぁっ!お城のみんな」


「空良様きれーい」
「空良様っ、おめでとうございますっ!」
「空良様っ、空良様がご正室となられて、私達も嬉しいですっ!」



「…みんな…ありがとう」

思いがけない言葉の贈り物に、胸がジーンと熱くなった。



「空良っ!」

そしてその人だかりから聞きなれた声が聞こえ見ると、女中仲間たちがいた。



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