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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第40章 叶えられていく思い 再会




「数多の命を奪って来た俺でも三途の川は渡れるのかと思っていたら、ある女に橋を渡ってはならぬと呼び止められた」


「母上…ですね?」

「そうだ」

躊躇う事なくそうだと言う信長様に、あの京での花見の時、橋の前で私が話した事をすんなりと受け入れてくれた事と、その時に”似た様な経験がある”と言った事に、漸く納得がいった。


「…でも、なぜ母上は信長様を?」


「…止めてほしいと言われた」


「え?」


「娘の名前は空良と言い、その娘が間違いを犯す前に止めて助けてほしいと。必ず助けてくれるなら、ここから元の世に戻してやると言われてな」


「……っ」

母上は、本当に私を見守ってくれていた……
けれど母上では私を止める事ができないから、信長様にお願いをしたの?

それとも、信長様が私を、私が愛する人だと、母上は既に知っていて頼んだのだろうか?

理由はどちらにせよ、死しても尚、私の事を案じ助け続けてくれていた母上の大きな愛情を感じて、私の目からは涙が溢れ始めた。


「俺は不確かなものは信じぬが、あそこから出るには貴様の母の条件を飲む他なさそうで、その娘とやらに興味もあり、貴様を助けると約束した。そして目覚めた時、空良、貴様が懐剣を握りしめて俺の前に立っていたと言うわけだ。俺の命を狙っているとは聞いてなかったゆえ、かなりの状況で驚いたがな」

あの日を思い出したのか、信長様は口角を上げて笑った。


「…母上は、さそがし呆れていたのでしょうね。私が敵だと思い違いをして信長様を殺めようとしていた事を……」

自らの命を犠牲にしてまで助けた娘が、愛するべき相手を憎みその手に掛けようとするなんて…、驚いて、呆れて、焦ったに違いない。


「ふっ、呆れてはいなかったが、そうだな、焦ってはおったな。そして、貴様に伝えて欲しいと、伝言を預かった」

私の涙を指で拭いながら、信長様はその時の母上の様子を教えてくれた。



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