第40章 叶えられていく思い 再会
「ぶっ!痛くなければ良いのか?ったく貴様には敵わん」
私の覚悟を、信長様は吹き出して笑うと、私の鼻を摘んだ。
「……んっ!」
「貴様は、己を過小評価し過ぎだ。俺は、貴様が思う以上に沢山の物を貴様から貰っておる」
「えっ?」
「それに、一番欲しかった貴様の心と一生を俺はもらった。それに比べればこれは大したことではない」
「信長様…」
満足そうに私の頬を撫でる信長様は、本当に大きくて深い愛情を持った人で、敵わないのは私の方だ…
「まぁ、貴様が俺との情事に思いのほか積極的な事は分かった。それはそれでもらっておくのも悪くはない」
「えっ、ちがっ、そう言う意味では…!」
(何て嬉しそうな顔)
「照れずとも良い。折角だ、褥での礼の件は、痛みの伴わぬ過激なものを考えておいてやる。なあ、吉法師」
「だぁーー」
「…だから違う…って言ってるのに…吉法師に変な事言わないで下さい…」
(何だか吉法師も嬉しそう…やっぱり血筋?)
でも、信長様になら何をされてもきっと幸せな快楽へと変えてくれるに違いない………なんて、笑いながら吉法師を抱き上げ歩く大きな背中に思ってしまう。
「信長様っ、でもやはり、お礼の言葉は言わせて下さい。信長様のおかげで家族全員がここに揃いました。これからは、ここに来れば家族に会える。そんな日が来るとは思ってなかったので本当に夢みたいです」
その背中を追いかけ、私はお礼の言葉を伝えた。
「貴様の兄も見つかり、両親もここに眠る。空良、これでもう気がかりな事はないはずだ。明日からは俺の妻となり、俺だけを見つめ愛され続けるが良い」
振り返った信長様は私の腰を引き寄せると、気持ちの最終確認をしてきた。
「はい、もちろんで………あっ!」
勿論だと言いたかったけど…
「何だ、その”あっ”と言うのは?まだ何かあるのか?」
信長様は分かりやすく怪訝そうに言葉を返す。(ホントごめんなさい)
「あの、これは私の問題で、もうどうしようもない事ですが、私…夢の中で会った時の母上の最後の言葉を聞き取れなくて、何と言っていたのか…、それだけが悔やまれます」
私の命だけでなく吉法師の命も助けてくれた。そんな母上が最後に私に言った言葉…