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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第40章 叶えられていく思い 再会



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麻と会っていた茶屋からさほど遠くない場所に、新しく建立されたお寺はあった。


「……立派なお寺ですね」

その大きくて立派な様に、ほぅっと思わず感嘆の溜息が漏れた。

敷地の広さは目視では測れないけど、広大であろうと思わせる長さの塀と立派な門構えが私達親子三人を出迎た。


「この安土で一番大きな寺となる。空良、貴様の寺だ」

「……えっ?」

「落慶法要(らっけいほうよう ※新築の祝賀儀式)は俺たちの婚儀の後に行うが、住職はじめ寺の者どもは皆揃っておる。来い、紹介してやる」

「えっ、えっ?信長様っ!?」

(どう言うこと!?)

驚く私に構わず、信長様は私の腕を引き寺の門をくぐってどんどん奥へと歩いて行く。


(私の寺って…確かにそう言ったよね?どう言う意味だろう?)

顕如様の所にいたとは言え、父と母への供養の経を読む以外、私はそれほど信心深い仏教徒では無い。(これはこれで、顕如様ごめんなさいっ!)


「あのっ、」


「黙ってついて来い、直に分かる」

楽しそうな笑顔を見る限り、悪い事ではなさそうだけど…

(何だろう?)


そもそも、神仏を信じないと言っている信長様が政治的要因以外で寺を建立する事自体が珍しい。(と、秀吉さんはじめ様々な人が言っていた)


悪い癖だけど、こう言う時は悪い方へ物事を考えてしまう私の中で、一つの嫌な考えが浮かんだ。


(もしかして…私の新たな住処って事?)

京より戻って今日まで、信長様はじめ、秀吉さんや光秀さん達が、必死で織田家の重鎮達を説き伏せ私との婚儀を了承させた事は知っている。


(本当はまだ反対する家臣がいて、私はお寺に預けて別居する形で納得してもらおうとか?
俺から離れる事は許さんとか、城に帰るまで煽るなとか言っておきながら、本当は、今日ここに預けていくつもりじゃ…)


ドクンドクンと心の臓は途端に嫌な音で騒ぎ始め、信長様に手を引かれたまま草履を脱いでお寺の中へ……

そしてさらに廊下を進んで、ある大広間へと入った。




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