第39章 台風一過 後編
「ふっ、堪らんな」
「んっ……」
出会ってからこれまで、数え切れぬほど毎晩の様に空良を抱いてきたが、その行為に飽きるどころか、抱けば抱くほどに新たな奴を見せられ俺を深みへ堕としていく。
「あっ、……はぁ、んっ、信長様っ、苦しっ、ぁぁっ!」
これ程に、俺ばかりが常に翻弄されるのが悔しくて、せめてもの仕返しに空良をぐずぐずに蕩けさせてやりたくなり、呼吸を奪うような口づけをし、とろとろに蕩けた奴の中に指を挿れて奴の弱い所を責め始めた。
「やっ、ああっ、………んっ、…はっ、んん」
息苦しさと快楽の狭間で悶え、喘ぎ声を上げる空良が堪らなく愛おしい。
「貴様は俺のものだ」
後にも先にも、これ程に愛おしいと思える女は空良しかいない。
空良の中に挿れた指で刺激を加えると、奴は俺の指を痛いほどに締め付け、
「ああっ、..んんんっ!!!」
ビクンッと、愛らしい振動を俺の体に伝えながら上り詰めた。
「……空良、もう貴様の中に入りたい。力を抜け」
空良の中から指を抜いて奴の脚を開き間に入る。
「……ん?」
イッた余韻で身体はまだ小刻みに震えているが、空良からは何の返事もなく、動きもない。
「おい、空良?」
奴の顔を覗き見ると、
「おいっ、冗談であろう?」
イッたまま意識を飛ばしたのか、すやすやと、寝息をたてて眠る空良の寝顔が。
「っ、新手の嫌がらせか?おいっ、空良っ、起きろっ!まだ終わってはおらん。むしろこれからだっ、空良っ!」
揺すっても、頬を軽く摘んでも、奴は一人すっきりとした顔で寝息を立てている。
「天然の悪女め!この痛い程に勢い良く勃ち上がった俺の欲をどうしてくれる!?」
どくどくと脈打ち反り返るソレは、行き場を無くしたことも知らず早くしろと俺を急かす。
「まだ体力が伴っていなかったとは、誤算であった………」
少し考えれば分かりそうなものを、奴の色香にあてられ己を見失い、情事に溺れてしまうとは……
「指などでイカさず、己自身でイカすべきであった……」
久しぶりの情事でやりすぎた俺は、生まれて初めての”後悔”をし、その夜は必死で己自身の熱と戦った。