第39章 台風一過 後編
「……まて、貴様の帯を解くのは俺の役目だ」
もう、止められない。
奴の手を振り払い褥へ運ぶと、解き慣れた帯を解いて行く。
「っ、信長様っ、……っん!」
俺を追い詰め降伏させた愛しい唇に、噛みつく様な口づけを落とす。
「これだけ俺を煽ったんだ、もうやめられんぞ」
「っ、はぁ、はぁ……」
頬を紅潮させた空良は、潤んだ瞳で俺を見つめて頷くと、俺の首に抱きついて口づけた。
空良の甘い香りが、今夜は特に濃く甘く感じる。
「んっ………」
口づけながら奴から着物を脱がせると、熱く柔らかな肌が吸いつき、それに煽られる様に、俺も素早く着物を脱いだ。
「っ………」
夕餉を終えたばかりで煌々と行燈の灯された部屋は全てを照らし出し、空良は俺の裸を見るなり、赤い頬を更に赤く染めた。
「ふっ、まだ恥じらうのか?」
「っ、信長様が綺麗で……」
はにかみながら視線を逸らす空良に堪らなく唆られ、そんな奴を抱き寄せ肌を合わせた。
「あっ」
「綺麗なのは貴様の方だ」
「んぅ………」
久しぶりに俺の目に晒された空良の肌は、俺がつけた痕もすっかり消え真っ新で、初めて奴を抱いた夜を思い出させる。
「んっ………あっ」
独占欲が込み上げ、首から胸元、そして腹へと、俺のものである印を奴の体に刻み付けていく。
「空良」
「っ、あっ、信長様……」
手を伸ばし奴の秘所に触れれば、そこはもうしとどに濡れていて、奴も俺と同じ気持ちであったことに胸の奥がくすぐったさを覚える。
「我慢をしておったのは、どうやら俺だけではなかった様だな」
「やっ、言わないで……」
意地悪く囁けば、空良は予想通りに恥ずかしそうに顔を逸らした。
「おいっ、顔を逸らすな、どのような顔で俺を欲しておるのか見せろ」
「あっ、やっ!」
ぐいっと空良の顎を持ち振り向かせると、蒸気した頬と潤んだ瞳に、濡れた唇を僅かに開けて浅い呼吸を繰り返している。
「………っ」
その何とも扇情的な表情に、ごくりと喉が鳴った。