第33章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「信長様、これを」
「これは?」
「あの、お誕生日の贈り物です」
ご飯を食べ終えた後、私は風呂敷に丁寧に包んだ贈り物を信長様に手渡した。
「開けるぞ?」
「はい」
信長様はゆっくりと包みを開き、中身を丁寧に取り出した。
「ほぅ、手ぬぐいと、........これはお守りか?」
「はい。視察などで遠方へ行かれる際に持って行って頂けるようにと思いまして........。お守りは、いつもご無事でお帰りになれるようにと一針一針に願いを込めて縫いました」
視察も、考えたくはないけど戦にも、私はついて行くことはできないから、せめて気持ちのこもった何かを一緒に連れて行って欲しい。
「そうか、遠方に行く時は貴様だと思い必ず持って行くとしよう」
「あ、ありがとうございます。良かった〜」
ありきたりな物しか用意が出来なくて、がっかりさせてしまったらと思ったけど、喜んでもらえて良かった。
「なんだ、貴様の方が嬉しそうだな」
「だって、気に入ってもらえなかったらと思うとやはり心配だったので、嬉しいです」
「ふっ、貴様はいつも愛らしい事を言う。貴様が俺の事を思い用意した。それだけで俺には大切な物となる。まぁ、貴様自身を風呂敷に包んで差し出してくれても良かったんだが」
「..........っ」
(女中達と同じ事言ってる!)
「.......そ、そんな事は....恥ずかしくてできません。........あっ、」
恥ずかしがる私を見て信長様は笑うと、私の腕を引っ張り膝の上に乗せた。
「っ...........」
この動作一つで、これから何をされるのかが分かってしまい、やはり鼓動は大きく跳ねた。
「貴様はすぐ固くなるな、まこと見ていて飽きん奴だ」
大きな腕が私を包むように抱きしめ、首に唇を押し当てる。
「贈り物一つでこんなにも心が温かくなったのは初めてだ」
「信長様.....」
思いがけない言葉に胸がじーんと熱くなり、信長様に抱きつき背中に手を回した。
「空良」
名前を囁かれ口づけが落ちると、そのまま褥に倒された。