第33章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「はぁ?調理したの?」
「う、うん。私の籠に入ってたからてっきり誰かがくれた物だと思って......確かにこの季節に松茸なんて珍しいとは思ったけど....」
「あれは似てるけど松茸じゃない。って言うか、あんた、まだ食べてないよね?」
「えっ、味見に食べたよ」
そしてとても美味でしたが........
「嘘でしょ?」
あちゃーと言わんばかりの顔をした家康は、その顔を片手で覆った。
「ま、まさか、毒きのこ?」
政宗なら食用っぽそうだけど、よくよく考えたら家康のきのこって事は........
私自身もどんどん血の気が引いていく。
「いや、毒ではないから安心して。死に至る事はないし、数時間で効果は消えるはずだけど.........」
「だけど?」
続きが気になる!
「これは無痛茸と言って、痛みなどの感覚を奪うきのこなんだ。戦に赴く兵達や、痛みに苦しむ人に使えないか試そうと思ってたんだけど.......」
「えーっ!そんな大切なきのこをごめんなさい」
「あんたは本当に何でもホイホイ口に入れすぎ!もう少し慎重に行動しなっていつも言ってるのに.......」
「おっしゃる通りで.........でも私の身体、なんともないよ?」
「試しにつねってみなよ」
「うん。................あ、痛くない」
強くつねっても、やはり何も感じなかった。、
「でしょ?........そのきのこは痛みとかの感覚を奪うんだよ。まあ後遺症とかは残らないけど念の為、よく水を飲んでおきなよ」
「うん。ありがとう。ほんとごめんね」
・・・・・・・・・・
「.........と言うわけで、きのこの天ぷらはダメになり、今夜は鳥肉の天ぷらと大葉の天ぷらに変更となりました」
「そんな事はいい、貴様の身体は本当に何ともないのか?」
「はい。つねっても痛くないってくらいです。不思議なきのこですよね」
「本当に貴様は、食い意地を張るなといつも言っておるのに.....」
「ううっ。信長様まで家康と同じ事を.....でもその通りなので気をつけます」
「まあ、大事に至らぬならそれでいい」
「はい。ありがとうございます」
その時は、私も信長様もあまり深くは考えず、お互いの幼い頃の誕生日の話をしながら夕餉を楽しく食べた。