第33章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「のっ、信長様のお誕生日のお祝いがしたくて、それで」
「........なに?」
「あの、だから信長様のお誕生日をお祝いしたくて......家族以外で、しかも恋仲の方の誕生日を祝ったことがないのでちゃんとできるかは分かりませんが.........」
「それで?何故秀吉ではなく俺に直接聞かぬ?」
「そっ、それは信長様を驚かせたくて.....だから密かに秀吉さんにお聞きしようと....んっ!」
な、また口づけ?
「信長様?.......ん、.........っん」
いつもの黙れの口づけではないけど、
「んんーーー!!」
昼間から廊下でするような口づけではない濃厚な口づけがされ、呼吸を奪われた。
「ふっ、己の誕生日などに興味はないが、貴様が初めての恋仲との誕生日を祝いたいと言うのならば付き合ってやっても良い」
言葉とは裏腹に、ウキウキした顔の信長様。
(少しは、嬉しいって思ってくれてるのかな?)
「はいっ!お誕生日の夜は、信長様の時間を私に下さい」
「誕生日と言わず、俺の夜はいつも貴様の為に開けてある。存分に使うが良い」
「そ、そんなに毎夜は、遠慮します」
「ふっ、俺の誘いを断るのは貴様くらいだが、まぁいい、誕生日だな。その日は仕事を早く切り上げて戻る事にする」
ちゅっと、軽く口づけると、信長様は超ご機嫌で広間へと歩き去って行った。
・・・・・・・・・・
そして迎えた当日、私は厨の一角をお借りして、信長様のお祝いのご膳を作っていた。
「ん、美味しい」
きのこの天麩羅が揚げ上がり、一つ味見をしていると、家康がやって来た。
「あれ?............ねぇ空良、ここにあったきのこ知らない?」
何かを探しているのか、少し落ち着かない様子の家康。
「きのこ?」
「そう、きのこ。ここに一つだけ松茸みたいな風貌のきのこがあったでしょ?」
「えっ、あれなら薄切りにして天麩羅に、」
今も味見をしたばかりで美味しかったけど.......