第33章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「でも、何を作ろうかな......あっ、その前に信長様のその日の予定を先に聞いた方がいいかな」
私はいつだって空いてるけど信長様はお忙しいから、お誕生日の夜に夕餉をご一緒できるかは分からないよね。
でも........
「驚かせたいのに予定を聞いたら分かっちゃうよね?」
いつも驚かされてばかりの信長様を私だって驚かせてみたい。
でもどうすれば.......
「あっ、秀吉さんに聞けば良いんだ!」
そうだそうしよう。
「秀吉がどうした?」
「え、秀吉さんに信長様の.......って、わぁっ!信長様っ!」
浮かれ気分で振り返れば、信長様が背後に立っていた。
「廊下の真ん中で突っ立って何を一人でぼそぼそと、皆が通れず困っておるぞ」
「あっ、」
信長様の後ろを見れば、家臣の方達が笑いを堪えて私を見ている。
「ごっ、ごめんなさい。どうぞ、お通り下さい」
(ひゃー恥ずかしい!!一体いつからいたんだろう)
慌てて壁際へ寄り道を空けると、信長様の手が腰に巻き付き抱き寄せられた。
「っ、信長様!?」
「貴様らは先に行け」
「「「はっ!」」」
その一言で全てを察したように、家臣達は穏やかな笑みを浮かべて歩き去って行き、それに伴い抱き寄せられ壁に追い詰められた私の心の臓は途端に騒がしくなる。
「秀吉に俺の何を聞こうとした?」
皆の姿が見えなくなった途端、唇が触れそうな距離で迫られた。
「.......あの、信長様の予定を聞きたくて」
この言い方なら、怪しまれないよね?
「そんな事、秀吉に聞かずとも俺に聞けば良かろう?」
「あの、でも.......」
「それとも、何か秀吉とやましい事でもあるのか?」
「そ、そんな事あるわけ、っん」
少し拗ねた顔が近づいて、私の唇を奪った。
「っ、あの.......んっ、」
「正直に言わねば、この小さな身体に直接ここで聞く事になるぞ?」
私の上唇を舐めながら、冗談では決してないであろう言葉が飛び出し、
隠す事は無理と諦めた私は、観念して本当の事を話す事にした。