第33章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長様誕生日sp〜
「信長様のお誕生日の贈り物?」
「うん」
「そんなの、裸の空良に風呂敷巻いて褥に転がっておけば大喜びされるんじゃない?」
「あははっ、間違いない!」
家族や友達以外で、その人の生まれた日をお祝いするのが初めてな私は、信長様の誕生日を間近に控え、女中仲間から色々と聞き出そうと休憩時に相談をしている真っ最中......
「そっ、そんな事出来ないよっ!第一、そんな大きな風呂敷ないし......」
「って、気にするとこそこかーい!ないならそのまま裸で転がっておけば?」
「もうっ、真剣に相談してるのに!」
「ごめんごめん。で、何を贈れば良いか迷ってるんだっけ?」
「うん。信長様は何でもお持ちだし、それも高価な物や変わった品ばかりで、とてもじゃないけど私に用意できる物はない気がして.....」
「うーん、確かに信長様は何でもお持ちだろうし、その気になれば手に入らない物はないと思うけど、空良からもらう物なら庭の花でも喜びそうだけどね〜」
「うんうん。喜びそう」
「庭の花って...........」
でもそうかも。
きっと信長様は「庭にはこんな花が咲いているのか」と言って喜んでくれそう。
「まぁ、空良が用意した物ならきっと何でも信長様は嬉しいんじゃないかなってこと!高価な物でも特別な物でもなくて、信長様の好きな食べ物とかさ、でも本当は空良自身を贈り物にするのが一番だと思うんだけどね」
「「「うん、うん」」」
皆んなが納得とばかりに頷くけど、
「うーーー、だからそれは無理」
本当に大変な事になりそうだから........
「でもありがとう。何か手作りの小物と、信長様の好きな食べ物を作ってお祝いする事にする」
背伸びしても仕方がないし、大切なのは気持ちだと思うから。
「熱〜い夜もね!今から体力つけておきなよ〜」
「もう、そんなんじゃないから」
「あははっ!照れちゃって可愛い〜」
相談しに行ったのに散々皆んなから揶揄われ、顔を赤くしたまま私は部屋を出た。