第32章 暗雲
「嫌だと言う割にこれか」
肩で浅い呼吸をする私の目の前に、信長様は私から抜いた指を広げて見せる。
それは淫らにいやらしく糸を引いて、薄暗い部屋の明かりに照らされ主張をした。
「...........っ、もう、やめて.......」
イカされた余韻と恐怖で身体は震える。
「まだまだだ。もっといやらしく喘ぎ啼き叫ぶ、俺なしでは一時もいられぬ身体にしてやる」
瞼に落ちる口づけは熱いのに、それはいつもの優しい熱さとは違っていて..........
「っ、ふっ、ううっ........もう......やだ.......っく、」
心が限界を超えた。
「っ、空良............」
私の手首を押さえつける信長様の手が緩んだ。
「私は、信長様の.......っく、信長様の遊び女でも、操り人形でもありませんっ!うぅっ........」
「何を言うかと思えば、そんな事は当たり前だ、貴様は俺の女だと何度も....」
「っ、私もそう思えばこそ、どこで何をされても、愛を、信長様の愛を感じて幸せだったから、.......人前で口づけとか恥ずかしかったけど、でも、愛されてるんだと、嬉しかったのに........っぅく、」
もう、止まらなかった。
「他の誰が私を、私の事をなんて言おうが構いません。けど、信長様にだけはこんな事.........こんな人前で私を遊び女の様に........っ、うっ......」
折角時間を作って下さった信長様に、私が三姫と話をする事を了承した事は後悔してる。でも、こんな仕打ちをされる事なの?こんな、閨事を見せる様な事をされるまでの事を私はしたの.......?
「空良......」
大好きな腕が私に伸びてくるけど、
「嫌っ!触らないで!」
今は触れられるのが怖い。
「空良っ!」
「やっ、ん.......」
口づけが落ちる。
「やっ、んっ、、ん、.....っん、ん、」
強引に入れられた舌はさっきまでとは違い優しく私の口内をくすぐった。
「ん........ふっ、」
撫でる様な舌の動きと、角度を変えるたび優しく食む唇が甘くて、抵抗する力が徐々に奪われて行く。