第30章 京宴 中編
「麻.......、違うの。体調は本当に良くなってたの。ただ、お櫃のご飯の匂いを嗅いでから急に気分が悪くなって.....胸がむかむかしてしまって......」
昨日の船酔いに続いて今日もなんて、私の身体どこかおかしいのかも...
「正直言うと身体も少し怠くて.......」
季節の変わり目だし、風邪をひいたかも........
私の言葉を静かに聞いていた麻は暫く考えていたけど、
「空良様、ここでお話しするのも何ですから、一度お部屋に戻りましょう」
昨日の部屋へと言われ、私達はそのまま部屋へと戻った。
・・・・・・・・・・
「失礼します」
部屋へと入り腰を下ろすと、麻は断りを入れ私の首筋に手を当てた。
「少し、熱っぽいですね」
「本当?でもここ最近はずっとこんな感じなの。信長様にも温かいって言われてて、私少し体温が人より高いのかも」
恋仲になってからずっと信長様にドキドキしてるから、自然と体温が上がってても不思議じゃない。
「空良様、.....失礼ですが、最後に月のものが来たのはいつか教えて頂けますか?」
私の話を聞きながらも、麻は何かを考えながら再びおかしな質問をしてきた。
「月のもの?えっと.....」
(..............あれ?)
「空良様?」
「あ、うん。月のものだよね。最後に来たのは..........」
(いつだっけ.......?)
「ここ暫く、来ていないのではありませんか?」
麻は、まるで用意をしていたようにその言葉を口にした。
「う....ん。今年に入ってはまだ.....来てない」
と言うか、いつから来てない?
今は、如月で.....師走も.....来てない。
「最後に来たのは.....確か霜月の頃.......かも」
もう、三月以上来ていないと言う事だ。
「そんなに前から?」
冷静な麻の声が少し大きくなり、些か不安になってきた。
「私....、何か悪い病気って事?」
月のものが止まるほどの重大な病気なのかと思い、縋るような目で麻を見ると、麻はふっと目を細めて優しく微笑んだ。
「病気などではありませんわ」
「ほ、本当?じゃあ一体」
病気じゃないのにこんなに怠くて吐き気を催す事なんて他にあるんだろうか?