第30章 京宴 中編
信長様から贈られた高価な品々は一体どこへ行ってしまったのか?隠されているか、捨てられているならば、悲しいけれど誰かが拾って使ってくれるかもしれない。それならばあの着物達も無駄にはならない。けれど、もし燃やされでもしていたら........貧乏性だとは思うけど、もしそんな勿体無い事をされていたらと思うと胸が痛む。
「ごめんなさい........」
信長様に買って頂いた撫子の髪飾りを髪から外して抱きしめる。
「信長様............」
信長様の姿を思い出したくて目を閉じると、私はそのまま眠りへと落ちていった..........
「ん.......」
.................誰?
........誰かが私の髪を撫でてる?
目を開けて確認したいけど、もう眠たくて.........
けど心地良い........
サラサラと、髪の毛の流れ落ちる音。
その手は、何度も私の髪を梳きながら頭を撫でる。
「くくっ.....こんな状況でもここまで深く眠れるとは.......流石だな」
..........ん?.......何だか、聞き覚えのある声.........でも、眠い...........
大きくて温かな手は、その後も何度も頭を撫でる。
気持ちいい.........ずっと、この手で撫でられていたい........
その心地良さに身を完全に委ねようとした時........
「少し苦しいと思うが、これで起きぬ貴様が悪い」
聞き覚えのある声は意地悪な声色に変わり.........
「ん.....................っ、....ん、......んんっ、.............んーーーーー!」
物凄い息苦しさが襲ってきた。