第27章 逢引き
「.......おいっ、この間は何のつもりだ?」
戯れに伸ばした手が私に届かなかった信長様は、次は不快感をあらわにする。
「もっと近くに来い」
「いや、あの、......これ位が、皆の前では適正の間かと.......」
「適正な間などない。もそっと近寄れ!」
「でも.......」
これ以上近寄ったら、絶対に色々とするでしょ?
「なぜ警戒しておる?」
「えっ?警戒している訳では......っあ」
武将の動きはとても素早い。
気がつけば、間合いは詰められていて、私の身体は背後から簡単に抱きしめられた。
「あっ、い、いけません、信長様っ!」
「無駄に煽る貴様が悪い」
ちゅっと言う音が耳に届くのと、首に唇の感触がしたのは同じで.....
「ん....で、でも麻が............って、あれ?」
いつの間にかいないっ!
なるほど......こういう時は、素早く姿を消すんだ......って、違う違うっ!感心してる場合じゃ無い!
「んっ、信長様.......」
手は、当たり前に私の胸を掴みやわやわと揉み出した。
その気にさせられる前に離れないと。(身体は正直だから...)
麻はきっと外の廊下で待ってて、今のこのやりとりも聞かれているのに.....
「あっ、あんな所に埃がっ!取らなけれ、んんっ!」
今度は強引に唇を塞がれた。
「んっ!」
「埃などない、貴様が城を掃除しだしてから、埃というものを俺は見てはおらん」
「ほっ、本当にあそこにホコリが....あっっ!」
ゴツゴツと大きな手は、無遠慮に私の袷の中へと侵入する。
「いい加減覚えろ。逃げれば逃げる程逆効果だという事を」
「で、でも人が近くに......恥ずかしいです」
「ふっ、なる程、それで俺に触れられぬ様間合いをとっておったのか」
「んんっ、あっ、それはダメっ!」
悪戯な手は、迷う事なく私の胸を掴み、先をくにっと摘んだ。