第26章 共に歩む道
「いや、俺のこの地図はまだ完成はしておらん。この日ノ本全てを赤く塗り潰すまで、俺の地図は完成はせぬ。そして、貴様にもその手助けをしてもらいたい」
「.........私...に?」
「そうだ。この俺の正室として隣にいろ。そして、俺と婚姻を結びたいと思っておる姫や大名達から俺を守れ」
「.........それは.......モテる自慢ですか?」
「ふっ、自慢ではない。俺がモテるのは事実だ」
空良の腰を引き寄せ腕に閉じ込める。
「俺と貴様は何も違わん。だが貴様がどうしてもその身分に囚われると言うのであれば、俺の様に上って来い」
「信長様の様に?」
「そうだ。俺が小国からここまで成り上がったように、貴様も成り上がってみせよ」
「成り上がる?」
「俺と共に生き、俺を支え、誰もが、織田信長の横には空良あり。と言われる女になれ」
「そ、そんな事........私にできるんでしょうか?」
「確かに、ここから先の道のりは決して平坦ではない。貴様の言う様に、地位や名誉に縛られた輩は多い。手始めに、貴様を俺の将来の伴侶として京の祝賀会に連れて行くが、予想もつかない罵詈雑言を浴びせられるやもしれん。特に京の連中や大名衆は、地位や名誉を気にする輩が多いからな。だが、貴様はこの俺の命を狙う為、女の身でありながら、一人で本能寺に乗り込んで来た。そんな貴様だからこそ必ず乗り越えられる。それに、俺が必ず貴様を守る」
「でも、.........もし......出来なかったら.....?」
不安一杯の揺れた目で俺を見つめる空良だが、僅かに闘志の様な炎がその奥に見てとれた。