第26章 共に歩む道
「随分と余裕だな。俺が他の女をこの様に抱いても良いと.......貴様はそう言っておるのか?」
「っ..........」
「身分だの、武家の習わしだの、そんな戯言はたくさんだ!貴様がどう思っているのかを話せと言っておる!空良っ!」
褥に押さえつけられ、乱された姿の空良を上から見下ろし睨みつけると、空良は顔を歪めて涙を溢れさせた。
「..........っ.....もう、やだ.........っ、もう、別れる....」
「...............は?」
「ど、どうしていつも、そんなに怒るんですかっ?.......私にだって色々と事情があるのに..........ううっやだ、嫌い、もう別れるっ....うう.....」
「おいっ、何を言ってる?」
どうしてそうなる!?
「信長様なんて嫌いっ!っく、ううっ....いつも俺様で、すぐ怒って変な事ばっかりしてきて.......妻にって、正妻にって.......私が一番考えない様にして我慢してきたのに......っうう.....他の姫にって....どうして良いと思うんですかっ!っく、好きだって......言ってるじゃないですかっ!でもっ、でも私は何も持ってないし、信長様の力にもなれないから.....ううっ.......必死で....っく、我慢して自分に言い聞かせてきたのに.......もうやだっ、出てくっううう.....」
「...................っ、」
空良が泣くのは、もう何度も見てきた......
けれど、こんな子供の様に駄々を捏ねて泣く姿は初めてで..........
「出て行ってどうする?俺は直ぐに新しい妻を迎えてよろしくやるが、貴様はそれで良いんだな?」
真剣な話の最中だが、無性にいじめたくなった。
「うっ、嘘つきっ!俺にしとけって、愛してるって言ったくせに!」
「貴様が別れてこの城を出て行くと言うのであれば致し方ないであろう?」
「っ.......それもやだっ、嫌いっ!意地悪っ!暴君っ!」
イヤイヤと首を左右に振りながら俺の胸を叩く空良の手を止め軽く口づけた。