• テキストサイズ

叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第3章 侍女の仕事



「っ.....」

昨夜まではただ冷たかった信長の目に、僅かな熱が灯った様に見える。

なんで、そんな目で見るの.......?

「は...なして......」

でも、目を逸らす事ができない。


「離さん、今宵も貴様をもらう」


「っ....んっ!」

掴まれた手首ごと壁に押さえられ、噛み付くように口づけられた。

「ん..............」

重なった唇が熱くて、生きている事に何故かほっとする。


母上達も、いつも温かくて優しく笑っていた。
でももう、その温もりを感じる事はできない。


「っ.........どうして........殺したの?」
一体、父上が何をしたと言うの?

「........... 空良?」


「あんなに温かかったのに..........どうして........んんっ」


言葉は途中で口を塞がれ遮られた。

「んっ...」
私を掴む手も、かかる吐息も、差し込まれる舌も、この男の全てが熱くて溶かされて行くみたいだ。



「.........空良、一つだけ教えろ」

熱にうかされそうになった時、ちゅっと音を立てて唇が離れ、信長は真剣な声で私に聞いた。


「な..........に?」


「貴様はその時、俺を見たのか?」

  





「.................................え?」


それは、至極当然な質問だった。


私がこの男の命を狙うのは、私の家族の命を奪ったからで........けれど私は......


「............見て........ない」


覚えているのは、燃え盛る炎と人の叫び声と別れ際の母上のお姿........

父上が斬られるところを見たわけでも、この男を見たわけでもない。


「何故俺がやったと分かった?」
 
「それは............」

顕如様がそう教えてくれたからだけど、これを言うわけにはいかない。
答えられず俯いていると、


「いや........答えずとも良い。今夜は二つ、貴様から情報を引き出せた」

信長はニヤリと笑り、私をそのまま抱き上げ閨へと連れて行った。



/ 679ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp