第23章 姫の反乱
「ん、」
目覚めると、そこはいつもの部屋で、信長様の腕の中。
...............けど、私いつ寝たっけ?
何だか随分と眠っていたような気がして........
「あっ!」
そうだ私、家康の薬を間違って口にして、........倒れた?
そこからの記憶が......
「起きたか?」
「あ、信長様、私....んっ!」
顎を救い上げられると唇が重なり、容赦なく呼吸を奪われた。
(な、に?寝起きからこんな深い口づけ.....)
「んっ、......苦しっ、ま、待って信長様っ!」
顔を振って唇を離すと、やっと息苦しさから解放された。
「も、もう、朝から苦しいです。何するんですか?」
怒って信長様を睨み上げると、
「漸く薬が切れたようだな」
安心した顔で私を見るから、そこでやっと何かがあったのだと気づいた。
「薬って、私.....家康の所で倒れてから何かあったんですか?」
「さあな、貴様はどう思う?」
私を優しく腕に閉じ込めて、信長様は愉しげに問いかける。
「うーん、全然記憶が無くて........。でも妙に頭はスッキリとしているのに身体は痛いから、ずっと寝てた....とかですか?」
身体は本当に、キシキシと痛む。良く寝たからだろうか。
「ふっ、まぁそんな所だ。良く眠れたのなら良かったな。愛してる」
優しく微笑む顔が近づくと、温かな口づけが落ちた。
けれど、それは信長様の優しい嘘だと言う事に私が気がつくには、そんなに時間はかからなかった。
支度をしようと襦袢を整え直した時に、おびただしい数の口づけの痕が身体中に刻まれていて、私が信長様と何をしたのかは一目瞭然だった。
そして極め付けは、
「あっ、秀吉さんおはようございます」
朝一、秀吉さんに挨拶をすると、
「お、お前空良か?本当に治ったんだな?」
と肩を掴まれ確認をされ、
「もう二度と、あの部屋の掃除はしようと思うなよ。なっ?分かったな?」
と何度も説得させられた。
きっとかなりな事を私はやらかしたに違いないけれど、時折り思い出すのは信長様の熱い吐息と優しい口づけで....
私の心は本当に満たされていてスッキリとしていたから、このまま信長様とみんなの優しい気遣いに甘えることにして、この騒動は幕を閉じた。