第23章 姫の反乱
〜後日〜
「信長様、例のきのこ返して下さい」
「何の話だ、家康?」
「隠さなくて結構です。俺の部屋から例のきのこが一つ無くなってる事、気づかないとでも思ったんですか?」
「貴様、俺を疑っておるのか?」
「あなた以外誰が持っていくんですか?早く出して下さい」
「ふんっ、一つくらいケチケチするな。どうせたくさん持っておるだろう?」
「それは、俺の部屋から持って行ったって、認めるって事ですね?」
「持って行ったとは言っておらん。一つや二つきのこが無くなったくらいで騒ぎ立てるなと言っておるだけだ。細かい所は昔から変わらんな」
「言っておきますが、あれは使用しすぎると記憶障害などの副作用を引き起こしかねませんよ!空良が信長様の事を忘れても知りませんが良いんですね!?」
「むぅ、貴様......... 空良の名を出すとは卑怯な.......」
「薬の力を頼ろうとするからでしょ。早く、きのこ出して下さい。その袂に入ってるのは分かってるんです」
「ふんっ、抜かりの無い所も変わらんな」
信長は指摘された袂から乾燥きのこを取り出し家康に渡した。
「何年一緒にいると思ってるんです。あなたが大切な物を袂に隠すのは昔からでしょ!じゃあ確かにもらいましたから」
きのこを取り戻し去っていく家康に対し信長が舌打ちをしたのは言うまでもないが、実は袂にもう一つきのこが入っていた事まで家康は気づかなかった。
「ふっ、まだまだ詰めが甘いな」
信長はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、天主へと戻って行った。