第23章 姫の反乱
「おい、一体どうなってるんだ?さっきの空良、まるで別人だったが?」
政宗が目をパチクリさせながら、秀吉に尋ねる。
「誤って催淫作用のある薬を頭から被って、昨日からあの状態だ」
「昨日って、まだ抜けてないのか?」
「もしかすると、空良は人よりも薬が効きやすいのかもしれません。自白作用もさっきの感じからすると少し出てる気もしますし」
驚いて聞き返す政宗に、今度は家康が答えた。
「なる程な.....。自白と言うと、俺たちは情報を間者から聞き出すと思いがちだが、空良の様な者には、普段言えない心の内を吐き出す作用が働くのかもな」
「ククッ、姫君の反乱だな。あの様な姿で寂しいなどと言われて御館様が正気でいられるわけが無い」
「おいっ光秀っ、不吉なことを言うな。これでは織田軍が総崩れだ!家康っ、解毒剤は本当にないのか?」
「信長様にも伝えましたがありません」
「まぁそう焦るな秀吉。いくら良く効くと言っても三日も効きはしない。今朝の軍議は言われた通りお前がまとめても問題はない」
「そうだといいんだが。って、おい光秀!これから軍議だ!どこへ行く?」
「俺は御館様から別件で動く様に言われてる」
手をひらひらとさせながら、光秀は広間から出て行った。
秀吉は午前の軍議をまとめ上げ、午後には信長も政務へと戻ったが、その度に空良が艶かしい声と姿で信長を探し呼びに来た為、織田軍は臨時の休暇を余儀なくされた。