第22章 初めてのお買い物
「ダメだ!」
昼間、天主に戻られた信長様にすぐ聞いた私は、すぐさまダメの一言を頂戴した。
「どうしてですか?」
「城下へなど、危険すぎる。絶対にダメだ!」
「お友達も一緒です。それでも?」
「友達とは女か?」
「はい」
「刀も振れぬ女など話にもならん。ダメだ!」
「じゃあ、刀の振れる男友達ならいいのですか?」
「はっ?阿保か?貴様と二人でなどと、其奴はその場で俺が首を刎ねる!」
「なっ!じゃあどっちにしろ私はお城の外には出られないって事ですか?」
女は弱くてダメ、男は一緒にいるだけで打首なんて、そんな俺様な理由ある!?
「そもそも、なぜ今頃になって城下に行きたいなどと言う?」
「それは.........」
「俺には言えぬ理由でもあるのか?」
じわじわと獰猛な獣の様に詰め寄る信長様に対し、私は追い詰められたうさぎの様に、その目から逃れられず後ずさる。
「言えないわけでは......ただ、」
「何だ、はっきり言え!」
「お、お金が欲しくて........」
「は?」
「い、いえっ、お金と言うか、買いたい物があって......」
自分で言っていて恥ずかしくて顔が熱くなる。
「そんな回りくどい事を言わずとも、欲しい物があれば言えば良かろう?」
「その欲しい物は、信長様に買って頂くのではなく、自分で稼いだお金で購入したいんです」
「自分で稼ぐ....だと?」
信長様はさらに間合いを詰め、完全に壁際に寄せられた私はもう、逃げ道がなくなった。
「あ、あの、実は.........」
話がどんどんややこしくなる前に、この前の女中部屋での事を、順立てて信長様に話した。