第22章 初めてのお買い物
「お金、少し貰えば?信長様なら絶対使い切れない位くれるよ」
「いや、それはそれで困るかも.........(本当にくれそうだし)
それなら、自分で作った物を売ってお金にしたいかな」
「あっそれいいじゃん、空良が私たちに作ってくれた髪飾りや帯留めの小物、実は結構外でも評判で、この間行った呉服屋さんでも、これを作った人を紹介してほしいって言われてたんだった」
「本当?」
(それは、かなり嬉しい)
「まだ他にも作った物があるなら買ってもらえるか聞いてみようか?」
「う、うん。何個かあるから持ってきてもいい?」
「いいよ。」
「本当?すぐ持ってくるから待ってて。」
自分が作った小物が売れるかもしれないと聞いて、天にも登るような気持ちになり、私は立ち上がり急いで天主へと駆けて行った。
〜空良のいなくなった女中部屋では〜
「ねぇ、どう思う?」
「何が?」
「空良の事。ほんと健気だよねぇ。私だったらあんなに愛されてるんだから何でも我が儘言って買ってもらうのになぁ」
「そうだよねぇ。信長様に一言言えば、何だって喜んでくれるだろうにね」
「ほんとほんと、私が空良だったらまず掃除なんかしないで趣味に走る!」
「言えてる!働いたりなんかしないで偉そうにふんぞり返る!!そこの者、茶を持て、とか言ったりしてね」
「あははっ、だよね〜」
「..........でもさぁ、だから空良なんだろうね」
「あ、分かる。何でも一生懸命で嘘がなくて、女でも守ってやりたいーって思っちゃう」
「信長様が夢中になるのも分かるなぁ」
「うん。あんな優しい信長様、今まで見た事あった?片時も離したくないって、ああ言うのを言うんだって、初めて思った」
「二人を見てるときゅんって来るよね」
「来る来るっ!だからこのまま幸せになって欲しいね」
「うん。誰が来ても仕えるしかないけど、来たる日が来てお仕えするなら絶対に空良がいい」
「私も空良が良い!だから頑張れー!」