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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第21章 焦燥



「信長様っ!」

突然襖が勢いよく開き。重苦しい雰囲気を払拭する様な元気な声が天主に響いた。

「空良?」


「信長様、...って、あ、....光秀さん」

俺以外誰も居ないと思っていたのか、大声で確認もせず元気よく入ってきた己を恥じる様に顔を赤らめた。


「ごめんなさい。お仕事中なのに.....」

「いや、構わんがどうした?」

空良の手には、湯呑みが握られている。

「いえ、急ぎでは無いので隣の部屋で待ってますね」

急ぎでは無いと言いつつも、その顔には”残念”と書いてある様だ。何かを俺に飲ませたいのか?


「空良、俺はもう報告を終えた所だ。気にするな」

空良の落胆した顔を読み取った光秀も機転を利かせる。


「でも.......」

「お前の顔一杯に”残念”と書いてあるのに遠慮するな」


「えっ、顔に書いて!?」

慌てて顔を手で覆う空良に、俺も光秀も笑いを堪える事ができない。


「ククッ、光秀、そのぐらいでやめておけ」

「ククッ失礼を致しました。では、私はこれで。空良、邪魔をしたな」


「あ、お疲れ様です。光秀さん」

顔を緩め部屋を出ていく光秀。
秀吉然り、政宗と言い家康と言い、皆空良には甘いようだな。
日々謀略の中に身を置き戦う俺達にとって、空良の存在は大きな癒しとなっている事は間違いない。



「信長様、これを」

光秀が部屋を出た後、空良は手に持つ湯呑みを俺に差し出して来た。


「何だ、もしや毒か?」

意地悪を言って揶揄えば、

「もう、また意地悪な事を。これはお薬です」 

途端に口を尖らす空良が愛おしい。

「薬?別段体調は悪く無いが」

「これは、信長様の睡眠薬の効果を薄める為の薬です」

「どう言う意味だ?」

「あらゆる毒の耐性がある信長様でも、この睡眠作用のある物だけは何故か耐性ができなかったと聞いております」

「そうだ」

「だから、耐性が出来ないなら、中和できる身体にして頂こうと思って、まだこれから試行錯誤して作り上げたいんですけど、一先ず今日は、第一段階を試して欲しくて......」

なる程、それで家康に.....

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