第20章 夢で逢いましょう
「ん.........信長様、いけません。私は帝の妹です...........」
「ククッ、どんな夢を見てるおるのか手に取る様に分かるな」
朝廷を訪れた俺が、公家の姫である貴様と恋に落ちる夢と言った所であろう。
「.........ダメっ........信長様........」
無意識に俺へと伸びてきた腕を掴み抱き上げる。
「空良姫」
夢の中の奴に語りかける様に、わざと姫と呼び口づけを落とす。
「やっ、何をするの?その様な事、恋仲の男女しか........」
寝ながらも、慌てふためく奴の姿が可笑しくて堪らない。
「はっ、俺達は恋仲だ。夢の中でも俺を焦らしておるのか。相変わらず悪女だな」
まだ夢の中の空良は俺の腕の中で顔を赤らめ身を捩る。公家の姫となってもウブな反応は変わらんらしい。と言うか、いつまで生娘のつもりでいるのか、まこと毎度の事ながら飽きん奴だ。
「ん............」
俺の笑い声に気づいたのか、空良は愛らしい目を薄っすらと開けた。
「信...長....様?あれ?...........いつの間にお着替えを..............」
夢と現の狭間にいる空良は現実の俺の姿に戸惑っているようだ。
なる程、夢の中の俺は束帯姿なのか。
ならば空良は小袿(こうちき)を着ておるのか?ふっ、それも脱がしてみたいな。
「空良、夢の中の俺に見惚れるのもいいが、そろそろ本物を見よ」
そろそろ奴の笑った顔が見たくなり、俺は深い口づけを落として奴を眠りから醒ました。