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叶わぬ未来の夢を見る【イケメン戦国】

第20章 夢で逢いましょう



「姫様、そこではよく見えませんでしょう?どうぞ前へ」

侍女達が私に気遣って、御簾の手前へ行く様に促す。


「私はここでいいわ」

前のめりに殿方を見るなど、その様にはしたないこと......


「いいではありませんか。さ、姫様」

「まっ、待って、そんなに押さないで!本当に私..........あっ!」

侍女の押しが強く、私の身体は御簾から飛び出てしまった。


「きゃあ!」

「おっと...」

驚いた殿方の声........
でも、怖くて顔を上げられない。

咄嗟の事で扇も取り出せず、袖で顔を隠した。


「これはこれは、宮中の花がかような所で突然咲くとは珍しい」

低くて良く通る声を響かせ、その方はしゃがみ込み私を覗き込んだ。


「し、失礼を致しました。私のことは気にせずどうぞこのままお通りを」

間近で見る武士はとても美しい顔立ちで、顔が熱くなる。

(お願い。早く行って)


「ふっ、俺は織田信長。其方の名は?」

恥ずかしいから早く行って欲しいのに、信長様は自己紹介をしだした。


「っ、私は空良と申します」

「空良、.....帝の妹君か」

「私の事をご存知で?」

「無論だ。帝の妹君は天女の如く美しいと聞いている。顔をよく見せてくれぬか」

「お、お戯れを」

「戯れなどではない。其方の顔をよく見たい」

「あ、」

信長様は私の顎を掴むと強引に視線を合わせた。


「.............っ」

「なる程、これは美しい。安土につれて帰りたい程だな」

ニッと、口の端を上げ信長様は妖艶に笑う。

「お、お口がお上手でいらっしゃるのね。そう言えば女は皆ご自分に靡くとでも?」

織田信長は、遊びも一流だと聞く。
こんな口車に乗るものですか!

「いや、........だが其方は欲しい」

「わ、私は帝の妹ですよ!」

「だからどうした?俺は欲しいものは手に入れる。例え帝の妹君であろうとな」

グイッと腰を掴まれ顔が近づいてきた。

「やっ、離してっ!...............っ、いたっ!」

雄々しい殿方の視線に耐えられず、顎を掴まれた手を振り払いその場を去るため立ち上がろうとしたけど、次の瞬間足首に鋭い痛みが走った。





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