第3章 侍女の仕事
「あっ、!」
せっかく作ったのに......
「諦めろ、俺の城は難攻不落で、更に逃げ出す事も難しい。貴様では到底無理だ」
クルクルと、解いた紐を纏めて信長はその場に捨てた。
「しかし、貴様が着るであろうと思って着物を用意させたが、貴様の育った所では、襦袢はこの様に紐にして使うと習ったのか?」
分かっているくせに、紐と化した襦袢を見ながら信長は意地悪な質問を投げつける。
「も、貰ったものをどう使おうと私の勝手です」
「ふっ、まあ良い。ついて来い」
ぐいっと私の腕を引っ張ると、部屋の外へと歩き始めた。
「えっ、どこへ?」
「湯浴みだ」
「えっ!?そんなの、お一人でどうぞ」
何で私が..........
「阿呆か、貴様は俺の侍女だろう。しかと世話をしろ」
「なっ!子供じゃないんですから、一人で湯浴みもできないんですか?」
廊下の真ん中で、掴まれた腕を思いっきり振り払った。
織田信長と言う男は、自分の意に沿わない者は、男女問わず即座に斬り捨てると、聞いた事がある。
だから、今度こそ.....怒ると思ったのに....
「ふっ、その通りだ。俺はまだ子供であるゆえ一人で湯あみはできん。それで良いか?」
怒るどころか、しれっとそう言って悪戯な笑みを浮かべた。
「なっ、なっ!そんな見えすいた嘘を.....!」
あ、あなた昨夜、獰猛な獣の様に私を襲いましたよね!?
「分かったのなら行くぞ」
う、嘘でしょーーーーー!!!