第18章 恋仲〜信長編〜
確かに、男と女の事を何も知らない、口づけすらも初めての、まだあどけなさの残る奴をこの手に抱いたのは俺だ。
『な、何するの.....?』
『はっ、貴様本当に何も知らんのか?』
褥の上で裸にされながらも、その後の事を何も知らず怯えながらも必死で耐える奴の顔に見惚れて、先を急ぐように抱いた。
あの夜の、身体が雷に撃たれたようにぞくりと痺れる感覚は今だに忘れられない。
まるで、空良をずっと探し求めていたかの様に快楽に支配された。
次の日も、奴の体への負担も考えず、己自身が満たされるまで抱いた。いや、どんな時も俺は俺の抱きたい様に空良を抱いてきた。
知らぬ間に、我慢をさせていたのか?
強情な奴の性格を、俺が一番理解していると思っていたが............
だが、なぜ俺に直接言わぬ!?それを俺ではなく秀吉に詳しく話すなど........
〔注:怒って出て行った為、空良が言えなかったからだと本人は気づいていない〕
「秀吉、貴様今すぐ腹を切れ」
「えっ?何故でございますか!?」
俺より、秀吉の方が空良を理解している様で腹が立つ!
どうせ今日は一日視察で空良とは別々だ。
俺と離れた位で貴様の心の臓が穏やかになるとは思えぬが、少しくらいは時間をやる。
だがその後はたっぷりと仕置きをせねばな。
俺に抱かれずにいられると思うなど、まだまだ仕込みが足りぬ証拠だ。
「あ奴め、どうしてくれよう」
武将達が全員揃い朝餉を食べる頃にはとうに機嫌も直っていたが、少し空良を困らせてやりたくなり不機嫌なフリを続けて俺は視察へと出かけた。