第18章 恋仲〜信長編〜
昨夜も..............
『空良、こちらへ来い』
鏡に向かい髪を櫛でとかし寝支度を整えている空良。そんな姿も綺麗で唆られるが、それよりも早く触れたい。
『はい』
俺が声をかけると、空良の肩は途端に跳ね上がる。
毎夜の事なのに、俺に抱かれる事が未だに恥ずかしいとは、見ていて飽きん奴だ。
そして空良は返事をしておきながらも、再度鏡を見て己の姿を確認する。
「いつまでそうしているつもりだ?」
もう待てぬからこそ名を呼んでいると言うに、中々来ようとせぬ奴の寝間着を引っ張った。
「どうせすぐに乱れる。それに何もせずとも貴様は十分に綺麗だ」
奴の顔は途端に真っ赤に染まり、はにかみながら漸く俺の元へと来た。
膝の上に乗せて抱きしめると、柔らかな奴の肌を寝間着越しに感じ、首筋に唇を軽く押し当てれば、奴の甘い香りが鼻腔をくすぐった。
「あの、信長様」
「何だ、」
「私........信長様と恋仲になれて毎日がとても幸せです」
小さな手で俺の両手を握りしめ、大きな瞳で俺を見つめながら言う空良に、俺の余裕は簡単に崩される。
「何だそんなこと.....」
空良の頬に口づけをする俺の顔は、家臣達には決して見せた事がないほど緩んでいるのだろう。
恥ずかしがると思えば、いきなり大胆に気持ちを伝えてくる空良の言動は中々に面白い。
「だから私、恋仲をもっと深めたいと思って考えたんです」
「俺も、もっと貴様を堪能したいと思っていた所だ。その考えとやらを言ってみよ」
(これは、今夜はいつも以上に乱れた奴を見られそうだな)
頭の中は、かつて無いほどの邪な気持ちで一杯になる。
「............あの、口で説明するのは難しいので、その.....実際にやってみても...いいですか?」
(なに?)
「今宵は随分と積極的だな。だが悪くない、やってみよ」
奴から俺になどと、想像もしない言葉が奴の口から飛び出し、完全に欲望のタガが外れた俺は、空良を抱きしめながら褥に寝転んだ。