第18章 恋仲〜信長編〜
「おはようございます!!」
中々眠りにつけぬまま、かと言って起きる気にもなれず横になっていると、そんな俺の神経を逆撫でするには十分すぎるほどの大声で秀吉が広間へと入って来た。
「秀吉っ、朝から煩い!何事だ!」
苛々する。
「.........................え?」
横たわったまま肘を突いて秀吉を上座から睨みつけると、奴は慌てて頭を上げ俺を見て、驚きの声を上げた。
「信長様っ!?こんな所で何を!.......もしや、昨夜はここにお泊まりで?」
(見て分からぬか!?)
「煩い、俺に話しかけるな」
そうでなくとも、昨夜は空良を抱き損ねてイライラすると言うに。
「空良と、何かあったんですか?」
それしか理由はないとでも言いたげに、秀吉は空良の名を口にする。
「別に何もない。これ以上俺に話しかけるな、今すぐ着替えを持って来い」
「はっ、ではその様に空良に伝えてきます」
二言目には空良の名を出しおって!
「空良の名前は出すな!奴とは暫く部屋も飯も別々だ。例の部屋を奴に与えて護衛も付けておけ。俺が天主に戻るまでには移動をしておく様に伝えておけ」
昨夜の事、考えるだけで苛立たしいが、俺といると緊張をして寛げぬ〔注:そこまでは言っていない〕と言う空良に今会えば、めちゃくちゃに抱いてしまいそうで.........、
不本意ではあるが、短期間であるなら部屋を分けてやろうと言う気持ちになり、秀吉に伝え、また寝転がり目を瞑った。
「はぁ、直ちに取りかかりますので失礼します」
秀吉は頭を下げて広間を後にした。
.............まいった。
俺とした事が、完全に空良に囚われている。
奴を思う気持ちは、侍女から恋仲になった所で変わる事はないと思っていたが、心を手にいれた途端、気持ちは前以上に大きく膨らみ、全く我慢が効かなくなった。